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掌の砂、流れる雲、それから。

掌の砂、流れる雲、それから。

この夜を越えて

この夜を越えて

この夜を越えて行こうよ きみが低く呟いたから
僕は理性を忘れて獣に変わりたくなる
ルージュがとっくに落ちた きみの小さな唇は 
ゆるやかに伸びのある声の響きに合わせて揺れる
バーテンダーは知らない振りしてる 多分よくあること、なんだろう

時折聞こえる車の音が 僕の鼓動に かぶさっていく
ねえ 大事に大事にしたいから はずみで抱きたくないって言ったら
言い訳に聞こえるのかな きみは傷ついてしまうだろうか

ほんとは折れる程強く強く 一晩中きみのこと汚したいんだよ

きみはキラキラ光る瞳を僕から外して溜め息をついた
違う、そうじゃない 僕の心が壊れそうになる 痛いんだ

きみのことホントに好きなんだ

僕はネクタイを緩めながら カクテルのお代わりを頼んだ
焦らなくてもいいじゃないか 僕はずっとここにいる
きみのこと好きなのは ずっと昔からだったし きみだって知っているだろう?

この夜は二人の為のまばゆい時間に変えていこうよ
きみが笑う 何か縛るものがほどけたみたいに
そしてその笑顔は この夜を 前戯に変える鍵になる




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